こんにちわ。
カメラマンとデザイナーをしている鈴木ヘレンです。
今回は私が家族撮影で大切にしている「空気感残し方」についてつづります。
まず、始めに私がカメラを始めてよかったこと。
それは「幸せな瞬間を残せること」です。
ブライダルを主にしていた写真館での勤務を経て、現在もカメラマンとして(デザイナーとしても)活動していますが、ブライダル写真も家族写真を撮影する時に抱く気持ちは共通してこれです。
その状況に応じて被写体が泣き笑いすることはありますが、シャッターを切る時はいつも幸せな瞬間に立ち合わせてもらっていて、そんな幸せな瞬間を自分の手と判断でシャッターを切らせてもらっているという幸せは他にありません。
この「幸せな瞬間を残す」ということが、私なりの写真についての空気感の残し方に繋がっています。
(今回は家族写真をテーマに、Newborn・Half birthday・1st birthdayと区切ってお送りします。)
Newborn
産まれたての赤ちゃんとまだ赤ちゃんとのふれあいに慣れない両親との距離感を撮る
この世に誕生して1ヶ月もたたない赤ちゃん。
まだまだ体はふにゃふにゃで 小さな声で泣く姿に、ドギマギしながら接する両親の姿はきっとこの瞬間にしか撮影できないんじゃないかと思っています。
特に第一子だと赤ちゃんの抱っこすら慣れず、色んなところに力が入っていて「あら?筋肉痛?」だなんてことも多々有りました(経験談)
それに、もう数ヶ月もすると、首を支えるための抱き方はしなくなりますし、子どもが成長して腕の中に収まるサイズではなくなります。
だからこそNewbornではその抱っこも含め、両親との「初めまして〜」感を写真に撮っておきたいと思います。
それと、大事に大事にしている瞬間も見逃し・撮り逃ししないようにね。
私はこの写真がすごく美しいと感じます。
男性に美しいと言うのは誤解をうむかもしれませんが、自分の子どもを大切に慈しむ姿は男女関係なく、美しくずっと残しておきたいなと思います。
「今しかない」という尊さを撮る
新生児の時のほっぺ、手や足の動かし方、小さな富士山の形をした口、産毛のような髪の毛。支えておかないとグニャグニャとなってしまう首を支える両親の手。
どれも今しかない尊い時間で、この撮影が一人の人としてこの世に認められた証になるように写真として残すこともNewbornの大切な役割だと思います。
Half birthday
子どもを通して、その家族がどんなやりとりをしているか知る、認める
生後半年が経ち、すっかり家族の一員として、いや、それ以上に家族の中の王座に君臨している子ども。
メキメキと頭角を表す子ども達にはいつも驚かされています。
でもその成長を見ると、こちらもほっこりしてしまっているのです。
例えば、こちらの家族は娘ちゃんがお父さんが近くのはOKだけど、お母さんが近くと顔をそらして拒否したり、笑顔を見せなかったりする。
そしたらお母さんはムキになって娘ちゃんに近く。
そしてまた娘ちゃんに拒否される。
そこで笑いが生まれたり、娘ちゃんやお父さんとの会話が生まれる。
実はそのやりとりが一番普段の家族の感じが出ている気がしています。
子どもを通して、その家族がどんなやりとりがされているか知ること、認めること。
そしてその家族に合った雰囲気やタイミングでシャッターを切っています。
赤ちゃんの笑顔を撮る時は家族に協力してもらう
赤ちゃんに笑顔が出るようになったら赤ちゃんの笑顔も撮ってあげたい。と思うのはカメラマンの私だけでなくて、きっと両親なら思うはず。
でも撮影日がほぼ初対面のカメラマンが赤ちゃんと仲良くなって、赤ちゃんが笑う写真が撮れるのは、とーーーーっても難しい!
そもそも赤ちゃんと初対面でも仲良くなれるのは
- カメラマンが子どもに好かれるキャラ
- 赤ちゃんが人見知りじゃない
- よっぽど波長が合う
くらいじゃないかと。
それに撮影時間は1〜2時間くらいなので、短時間で初対面のカメラマンと赤ちゃんが仲良くなることは難しい、のです。
そういう時にご協力いただくのが、毎日赤ちゃんと時間を過ごす家族!!
カメラマンにとって、こんなにも力強い味方はいません!
「こうやると笑うようになったんです〜」なんてお聞きするとすぐに実践してもらってます。
この撮影では、お父さんが高い高いをしていて赤ちゃんが笑ってる、、、!ちょっ!撮影させてくださーーーーい!!!という感じで撮影しました。
他にもカメラマンの後ろに回ってもらって(赤ちゃんからだと家族が対面)、カメラマンと同じ目線で声かけやおもちゃを振ってもらっています。この時ばかりはご家族も必死になってやってくださるので、本当に毎回助かっています。
赤ちゃんがいい笑顔をしてくれると、撮影させてもらっている側も凄く癒される。
とってもあったかい気持ちにさせてくれる家族撮影はいつまでもしていきたいなぁ、と思えます。
もし兄弟・姉妹がいたら…小さい子×小さい子は最強
この日は私の家族も撮影について来てもらっていたのですが、小さい子と小さい子が近くにいるだけで尊いの何なんでしょうか。
赤ちゃんと1歳児のコラボを見た時に、心の中でひゃーひゃー行ってました。(こっそり
兄弟・姉妹など小さい子同士を撮ることはバリエーションも増えますし、兄弟・姉妹だからこその接し方や距離感なんていうのも写真で残してあげられるのでいいですね。
もちろん、アップ⇄引きの写真も撮影して、お渡しする写真にメリハリをつけることも忘れずに。
どうしてアップと引き写真を撮るかのは↓こちらの記事(後半)に書いておりますので、お時間のある方はぜひご覧下さい♪
1st birthday
いよいよ撮り続けた赤ちゃんが1歳になりました。
写真の始まりは季節感が感じられる引きの写真からスタート。
チラッ
子どもが出来るようになったことを撮影する
1歳になって、出来ることが増きた赤ちゃん。もう赤ちゃんじゃなく子どもと言うべきですね…(1年間の成長を感じ涙ぐむ)
撮影当日には
- 名前を呼ばれたら返事が出来るようになった
- 一人で歩くことが出来るようになった
ができるようになっていたので、この瞬間の娘ちゃんは絶対に撮りたいと思い撮影開始。
お返事はお母さんとお父さんに娘ちゃんの名前を呼んでもらって何度か撮影。
お母さん手作りの「happy birthday」のワイヤー(ワイヤーの色をスプレーを使って黒に塗り直す力作っ!!)は、折角なのでお父さんとお母さんが持ってもらって、お顔は写ってないけど家族を身近に感じるようにしました。
お父さん、お母さんに名前を呼ばれて手を上げて返事したり、叫ぶように返事したりと毎回違うポージングとバリエーションの多さに将来はモデルさんで決まりだと思いました。
そして、もう一つ。
出来るようになった「一人で歩くこと」
ファーストシューズも真っ白で可愛い!!!
撮影日は紅葉がまだ始まっていなかったのですが、可愛く撮影したかった時に、アスファルトの上に散った葉っぱの上で撮影しようと決断。
何だか娘ちゃんの足元に広がる宇宙のように仕上がったのでお気に入りです。
それに
やっぱりまだまだ手を引かれないとヨチヨチ歩きで心配しちゃう親心もおさめてみました。
こうして写真で振り返って見ると、「子どもが出来るようになったことを撮影する」はnewbornのところでつづった「今しかない」という尊さを撮るということ共通していますね。
「今しかない」はこの後も子どもが成長する度に訪れるけれど、まだその成長が初めの段階ではヨチヨチだったり、ゆっくりだったり、大人だったら使わない指を使ってチャレンジしたり。
その"初め"の慣れない感じを残しておく事も記憶・記録しておくカメラマンである私の中での仕事だと思っています。
そして、この記事ももう終わろうかとしているとこで、最後の最後で家族撮影で気をつけている一番のポイントをつづりますね。
カメラマンの存在を消す
- 被写体にとって何が日常と違うのか。
- どうして写真を撮られる時は緊張してしまうのか。
それはカメラマンという、隠れても隠れられない存在感を放ってしまうカメラマンがいること。
これにつきます。
そして私が経験があるのは「さっきまで顔が見えていた人の顔が真黒ででっかい筒がついたもので顔が見えなくなった」ということが、子供からするとすごく怖いようです。
そりゃそうか。それまでニコニコしていた人が撮影になった瞬間に真黒で大きなレンズがついたカメラで顔が見えず、口だけが動いている状態…
その光景は「怖い」という事に気付けました。
なので、家族写真を初め、撮影時カメラマンとして被写体にリラックスしてもらうための「話しかける」時とカメラマンを意識しないでもらうための「黙っている」時をわざと作っています。
カメラマンは家族写真を撮るけれど、撮影のたった数時間で家族の一員にはなれない。
だけど、その数時間でその家族のためにできることはたくさんあるのだなぁ、とここにつづりながら感じています。
まとめ
産まれたての赤ちゃんとまだ赤ちゃんとのふれあいに慣れない両親との距離感を撮る
「今しかない」という尊さを撮る
- 子どもを通して、その家族がどんなやりとりをしているか知る、認める
- 赤ちゃんの笑顔を撮る時は家族に協力してもらう
- もし兄弟・姉妹がいたら…小さい子×小さい子は最強
- 子どもが出来るようになったことを撮影する
- カメラマンの存在を消す
をいつも家族写真の時に考えたり、実際に行動に移していることです。
子どもを通して、家族の空気感を撮影する家族写真だからこそ、被写体にもカメラマンに撮っても記念になる写真になればいいですね。