瀬戸内ノスタルジーMAGAZIN、第5回目は香川県にある琴平町です。
琴平は「讃岐のこんぴらさん」で親しまれている金刀比羅宮始め、日本最古の芝居小屋である金丸座で「四国こんぴら歌舞伎大芝居」が毎年春に上演されている、四国を代表する観光地。
観光地だからこその「瀬戸内ノスタルジー」を探しに琴平に足を運んでみました。
カメラはNikonD750、レンズは50mm単焦点、iPhone11Proで出かけました。
- 門前町の風情が残る町
- 琴平のノスタルジー溢れる看板たち
- 風情を感じるノスタルジックな駅舎
- 1,368段の石段にそれほどの人の願いがここに刻まれているのだろう
- 参道で出会った素敵なお店
- outroduction
門前町の風情が残る町
この門前町が現在の形で発展したのは江戸時代。
庶民が旅行を禁じられていた江戸時代でも神仏への参拝は許されていました。 とりわけ伊勢神宮への参拝の旅は「お伊勢参り」と呼ばれるほど、庶民にとって憧れ。
そんなお伊勢参りと並び称されたのが、「丸金か京六か」と言われた香川の金毘羅さんと京都の東西本願寺で、これらの寺社への参拝の旅が人生の一大イベントとして大変人気があったようです。
その人気は「一生に一度はこんぴらさんに」という言葉が生まれたほどで、参拝に来た旅人を満たすために門前町が形成されたそうです。
その姿は現在も参道や門前町に土産物店や旅館が並んでいて、当時の雰囲気を感じさせてくれますね。
雨に濡れた参道に反射するお店の光や人の影。
時代を超えてタイムスリップしたような感覚に包まれながら、江戸時代の人がこの場所が持つ人を引き寄せる力を感じていました。
金比羅さんへの入り口にある「四海平穏」が書かれた鳥居は、海の安全祈願として奉納されたもの。
人々の願いは、いつの時代も同じで、美しさと儚さにグッときます。
また、参道から外れたところにある、人の存在が「或る」温かみと自然が美しい。こんなところにもノスタルジーを感じちゃいます。
琴平のノスタルジー溢れる看板たち
町の中には、過去に町を彩ったお店の看板もたくさんあって、町を歩くだけでもとても楽しい時間。
看板に描かれたたばこの文字も、くだもの店という文字も”いつかのあの頃”を思わせてくれる。
なんだか儚い白昼夢の中でいつかの”あの頃”を見ているかのよう。
時の流れを受け、看板の色がはげたり、変色したり。
鉄は錆びたり、ポロポロと取れそうだったり。
使い込むほどに、放置しておくほどに、「当時の流行や古を感じさせる」愛おしいものへと変化していく。
それが私が魅了されている「瀬戸内ノスタルジー」を構成する1つの要素なのかもしれないですね。
これまで回った瀬戸内の島々でも、こうしたノスタルジーを感じる看板を数多く撮影してきました。
風情を感じるノスタルジックな駅舎
遠くのようで近くのようにも聞こえる発車音。
それに続いて聞こえてくる心地いいガタン、ゴトンと鉄が揺れる音。
ここから始まる金比羅さんまでのプロローグは「ことでん」と「JR」の2つの電車から始まるのかもしれない。
ことでん琴平駅は、こんぴらさんのお膝元らしいシックな佇まい。
2つの線路がすうっと曲がり角に消えてゆく。
電車の中が来るときも、発車するときも、あの曲がり角がキーポイント。
それを想像するだけで、ノスタルジックを感じてしまう。
ことでん琴平駅から真っ直ぐ歩くと、JR琴平駅の駅舎が見えてきます。
大正11年に建設された洋風木造駅舎を可能な限り建設当時と近い復元がされ、三角屋根と大きな半月形の窓の駅舎はまるで映画のセットのよう。
国の有形文化財にも登録されたこの駅舎は、夕暮れのピンク〜水色のグラデーションがかった空のロマンティックな情景がよく似合う。
うっかり、踊ってみたり。
ほら、心はもうキネマの世界。
駅舎に灯る光も
ゆっくり、じんわり、沁みるひとときに変わってゆく。
1,368段の石段にそれほどの人の願いがここに刻まれているのだろう
長い参道の石段を、一歩一歩。
ドキドキと高鳴る鼓動を聞きながら、上へ上へと歩みを進めてゆく。
時折、紅葉や装飾に息をのむ。
息を切らしながら、
行き着いた先は、海の守護神である金刀比羅宮。
全身にパワーをもらおうと、深呼吸をひとつ。
ゆるりと視線を変えると、讃岐平野が広がっています。
天気のいい日は瀬戸大橋や讃岐富士までも見晴らすことができる絶景です。
参道で出会った素敵なお店
参道に建つ、古民家を改装した店内にカラフルなお土産が
心地いい間隔で並んでいる。
「なんだろう?」
どんどん興味がわいてきた。
ここは旅というフィルターを通じて、ココロに余白を生み出すモノやコトのセレクトショップ「YOHAKU 26」さん。
江戸時代での旅に帽子として、お遍路さんでも使われる「すげがさ」に好きな色でペイントしたり、歌舞伎の刺繍ワッペンがあったり、旅のきねんに連れて帰りたくなる。
あれにしようか。
これにしようか。
たくさん悩んでこんぴら旅下(靴下)を連れて帰ってきました。
海の神様(左)と歌舞伎(右)
海の神様は、江戸時代に金毘羅さんへ参拝する人を運んだ「金(まるこん)」が目印の帆をかけ船こんぴら丸をイメージしたデザイン。
歌舞伎は現存する最古の芝居小屋「金丸座」で愛されているこんぴら歌舞伎をイメージしたデザイン。
きっとこんな素敵な靴下をはいた日は、素敵な場所に連れて行ってくれるのだろうとココロが踊る。
YOHAKU26
他にも琴平には素敵なお店がたくさんあります。
琴平:金比羅さんの参道にある「ご利益や」さん
— 鈴木 ヘレン@海と空のあいだでつむぐ写真 (@naturalbossa_) 2020年12月16日
関西出身のイラストレーターさんの描くクロネコと優しい店主さんが出迎えてくれました😄
高瀬地区でとれる高瀬紅茶などいただけてるので金比羅詣りの休憩に💐
多度津に姉妹店として温泉を改築したカフェが出来たそう☕️#金比羅 #瀬戸内ノスタルジー pic.twitter.com/PXbEg5Upj4
運営に携わっている瀬戸内かわいい部でも琴平のお店を紹介させていただきました。
outroduction
初めてこの町を歩いたのは秋祭りの時期。
右も左も分からない道で太鼓を囲む大勢の人々がいて、活気のある町だと思いました。
それから数年、この町に足を運んでいなかったけれど、香川にある観光地を回ってみたいと琴平の町を数度訪れました。
その度に、歴史を感じつつ、新しい道やお店を見つけることで、まるで私だけの宝物を集めているような気持ちになっていました。
皆さんにとって、
この町の魅力を発見できたなら幸いです。
それではまた、#6でお会いしましょう。
琴平
電車:高松築港駅→ことでん琴平駅 片道約65分、JR高松駅→JR琴平駅 片道約45分
※訪問される場合は、新型コロナウイルスの感染拡大防止・感染予防にご協力ください。
過去の瀬戸内ノスタルジーはこちら↓